セヤナーに関する総合的なwiki。SSなども掲載中

セヤナーを預かって一週間が経つ。

古い友人から旅先での怪我による旅行の延長ができてしまい、こいつの世話をするように電話先で頼まれた時などは二つ返事で了承してはみたものの、実際飼ってみるとなかなかに難しい。
実験用のセヤナーとは違い嫌いな餌はろくすっぽ食べない、遊ぼうにも遊ばせ方は難解極まる。
セヤナーも文句は言いこそすれ干からびるよりはマシと思っているのか、こんな生活にもそこそこ気に入ってくれているようだ。

そんなある休日の昼下がり、事故が起こった。

いつも通り一週間分の食事を買い貯める為の外出から帰り、それ乗じて掃除を行っていた時である。
冬場の鉄筋コンクリート特有の寒さにガラス越しの陽射しを浴びてぬくぬくと暖かさを帯びるラグマットは、さぞ居心地の良い「巣窟」であったろうに思う。
セヤナーは寝息も密やかに昼寝をしていたらしい、掃除機掛けしていたところにうっかりラグマットごと踏んづけてしまった。
ぐちゃり、と聞きなれぬ湿った音を足元に残して曳き潰れた感覚に顔をしかめ、それがセヤナーだと思い至ること数瞬。

解ったところでセヤナー初心者であるならただ退色していく様を眺めるだけであるが、これでも生物学者の端くれ、セヤナーの扱いを専門としてきた勘がこの事故から生き繋げさせる手段を無意識に引き出した。

ラグマットを払いのけ傷を調べる、幸いにも顔の部品が一揃え溶け残っていた。
急いでマグカップにかき集め、コーヒーメーカーからお湯を少し汲んで髪飾りを断面に浸けることで急場凌ぎとする。
マグカップ内の温度が一定になったのを確認しながら手鍋に湯を張り、マグカップごと入れてIHの電源をいれた、これでセヤナーの構造を安定させられる。
頃合いを見て電子レンジで水を入れたコップを温め、セヤナーの色が戻り始めたところで今度は熱湯を加え、融解と分離を促す。
ドロドロになったセヤナーの顔面を丁寧に整えながら、蛇口から冷水を少しずつ与え固定していく。
整形が終わったのでマグカップから顔と髪飾りを取りだし、お椀形のタッパーに残りを流し入れてから載せ変える。
しばらくあら熱を取って二色に分離し始めたセヤナーを冷蔵庫に入れて冷やし、あとは呼び声が聞こえるまで待つだけだ。

そのうちに弱々しい声で助けを求めるのが聞こえたので取り出してやると、どうやら記憶が混濁しているらしく、飼い主が出迎えなかったことに不安を抱かせてしまったものの、優しく接することで仲良くしてもらうことができた。
友人には正直にことの顛末を伝え謝ったが、少し不格好になってしまったものの生活する上での支障はなく、むしろ前より好き嫌いがなくなり大人しくなったと感謝されてしまった。

今後、この報告書を見て実践を試みる者に注記する。
これらはあくまでも生命に危険が及んだ時の応急の施術であり、セヤナーの悪癖を治したり性格を矯正したりといった用途で行うことを是とするものではない。
そして、何よりセヤナーはヒトと種をことにしながらも人語を介し意思疏通のとれる稀有な生物であり、これをみだりに侵害することはよしとしないものとする。

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